小さな会社のDX、現場からの実感

ここ数年、製造業の現場は大きく変化してきたのではないでしょうか。かつては作業に関わるすべてを紙に記録し、文書はローカルに保存。書類を引っ張り出して事務員が入力したり、電卓をたたいて数字を追う――そんな光景が当たり前でした。今でも多くは残っていますが、その割合は確実に減少しています。

DX、IoT、スマートファクトリー――耳にする機会は増えましたが、重要なのは「どんな情報を取得し、それをどう活用するか」という一連のフロー設計ではないでしょうか。
以外にも実際に取り組んでいる企業では、データを集めてもアウトプット設計が不十分で、効果を十分に発揮できてないケースが多いようです。コンサル等を利用した導入で一時的に形ができても、他社の成功モデルをそのまま当てはめるだけではうまくいかないようで、企業ごとに目的を明確にし、インプットからアウトプットまでのフローを自社仕様で設計することが肝のように感じます。

「スマートファクトリー」と聞くと、アーム型ロボットによる自動化や巨大AIシステムなど未来的で莫大な投資を伴う(規模の大きな会社のみが行う)ものを想像してしまいそうですが、もっと簡単に、日々の業務で自分たちができる範囲の”小さなデジタル化”を積み重ねる。その姿勢こそが、現実的で持続可能なDXの第一歩だと思います。

当社の取り組みと実装事例

指紋認証IoTデバイス
デマンド取得したデータの活用

当社でも徐々にデジタル化を進めており、業務負荷削減や効率化につながる仕組みを導入してきました。

  • 勤怠管理デバイスによるタイムカード廃止
    かつてはタイムカードを打刻し、事務員が全社員分を手集計。今では指紋認証やICカードで打刻し、クラウドに保存。リアルタイム集計やエラー検知が可能になりました。
  • デマンドコントローラーによる使用電力取得
    キュービクル内に設置し、ネットワーク経由で工場全体の電力使用量を取得。省エネや負荷分散の判断材料になります。
  • 工場内環境把握
    温湿度センサーを導入し、事務所から工場内温度を把握できるようにしました。
  • 工具の入出庫ログ
    専用アプリを開発し、タブレットで現場入力、ノートへの手書き記録>入力業務を廃止。リアルタイムに在庫状況を管理し、社員や工程ごとの使用量も分析可能に。
  • 突合作業のデジタル化
    取引先から紙ではなくデータを受け取り、そのままシステムに流し込み。チェックもVBAマクロやアプリなどで効率化され、事務作業が大幅に削減されました。

今後取り組みたいこと

当初は業務管理は全てローカル+エクセルで管理していましたが、RDB(リレーショナルデータベース)を使用して全てのデータが相互にリンクできるようにリファクタしました。

これからさらに実現していきたいテーマも多くあります。

  • 材料発注の自動化
    現場入力からアプリでのデータ登録を経て、自動FAXで取引先へ発注。中間管理排除
  • リアルタイム進捗 + 優先度の管理
    各物件の進行状況を即座に把握できるように既存の生産管理システムのリファクタ。物件の優先度を可視化することで、不要な生産管理を排除、社員やチームがその場で直接的に優先度に応じた製造が可能に。
  • 機械エラートレース
    異常の発生をデータ化し、稼働データと紐付け、不要なエラーヒアリング作業を排除し、トレース可能に。
  • 稼働時間のセンサー取得
    NC機はもちろん、汎用機にも振動や主軸負荷センサーを取り付け、稼働実績を数値化。工場全体の稼働状態を可視化し、データを元に適切な機械グループ構成、工程設計、人員配置。

こういったデジタル化により、管理の圧縮、現場の製造に注力できる体制構築を頑張りたいところです。

まとめ

最近国政政党となったチーム未来の安野たかひろさんも言っていましたが、デジタル化は目的ではなく「手段」。フェーズは全く違いますが、重要なのは、情報をどう取得し、どう活用するか。当社はまだ道半ばですが、一つひとつ着実に積み重ねることで、現場の無駄を「圧縮」し、会社全体のチーム力を高めていきたいと考えています。

これからも“小さな会社のDX”を、現場に即した形で実装していきます。

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